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作品のバックナンバー(2013/12)

(慈光寺の寛元の銅鐘ー比企郡ときがわ町) (師走の川越駅前ー川越市)
除夜の鐘三度唱ふる懺悔文(さんげもん) 歳末(   )や辻音楽師に素通り
懺悔文とは、人間には三悪(三毒)があり、これらは心(意)・口(言葉)・身(行い)から生ずるものであり即ち、@貪(とん)、A瞋(じん)、B癡(ち)、ですがこれらを反省して出さないように精進努力しましょうと言う内容のお経(偈文=げもん)です。@貪とは、執着や激しい欲望、貪欲のこと。A瞋とは、恨み、腹を立てたり憎しみ怒ること。B癡とは、愚痴や愚かさ、道理をわきまえない、無知のこと。座禅の時は毎回唱えておりますが除夜の鐘の時も去る年を反省し、来る年に三悪を出さないようにと唱えることにしました。三度唱えるのは三悪の各々を一つずつ戒める為です。尚、写真の銅鐘は鎌倉時代(寛元3年=1245年)のもので国の重要文化財に指定されており、鎌倉の建長寺や大仏様を作った鋳物師の物部重光の作です。 忙しい暮の駅前にバイオリン弾きがおりましたが誰も聴く人はおらず素通りして行きました。私は一瞬躊躇はしましたがやはり同じでした。然し、電車の中でふとシューベルトの”辻音楽師”(歌曲集”冬の旅”全24曲の最終曲で私の好きな曲)を思い出し、この歌詞の情景にそっくりなので驚きました。原語はドイツ語で”Leiermann”(直訳すると”ライエル弾き”)ですがライエル(弦楽器の一種)の特徴を正確に描写した曲だとも言われております。又、この音楽表現(語らないことで多くを語る)はシューベルト以外の作曲家ではなしえず、これに類似するのは世界中を探しても恐らく日本の能楽以外にはないのでは、とF・ディースカウ氏(バリトン歌手)は述べております。ライエルは一時期、最下層の人が道端等で弾く楽器とされ、ドイツではBettlerleier(乞食のライエル)と言われた事もあったようです。

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