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作品のバックナンバー(2023/02)

(荒川の小白鳥ー深谷市川本) (薄氷)
小白鳥捕虜となりたる兄の(かげ) 手の平に薄氷(うすらい)眩しかりしかな
私が4歳のときに兄はあの戦争末期に学徒出陣で樺太方面へ出征しましたがソ連の捕虜となりました。幸いにも数年後に復員しました。出征当時は家族全員が東京に住んでおりましたが戦後まもなく開拓のために埼玉に移住したので復員した時には東京の家は空家でした。兄は埼玉には戻らずに直ぐ婿に行きました。ですから私が兄と一緒に暮したのは幼い時の4年間でした。今でもシベリアから飛来する小白鳥を見ると捕虜のことやシベリアのことなどを小白鳥に聞きたくなります。兄を思い出すことも供養の一つだと思います。
昔は毎日のように厚い氷が張り、水道も凍結する程の寒さでしたが最近は温暖化の影響なのか真冬でもめったにこのようなことはありません。寒波の襲来が天気予報で報じられてもこちらでは予報通りには殆どなりません。ましてや立春を過ぎれば凍っても紙のような薄氷が多くなって来ます。日射しも日増しに強くなり、薄氷を手の平に載せて日光に当てるととても眩しいですが直ぐに融けてしまいます。長い冬も明け、柳や万作など早春の花も咲き始めて本格的な春の訪れが間近であることを実感します。

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